イマジンカイザー

ジョン・F・ドノヴァンの死と生のイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

3.3
もしもテレビの時の人と、文通でなんでも悩みを打ち明けられる仲だったら? くそったれな現実に若干十一歳で逃避を求め、すがるように続けた手紙のやり取り。
予告先行だったせいか、手紙の文面は作中殆ど語られずじまいなのが残念ですが、少年の置かれた境遇と俳優の格をクロスカッティングさせる手法のお陰であんまり気にならずに見られます。

一方の人気俳優ジョン・F・ドノヴァンも、私生活では常に見張られ、親類にさえも特別視され、特殊な趣味を持つことへのせめぎ合いで爆発寸前。壊れないよう努めながら少しずつ後戻り出来ない側に足を突っ込んでゆく様は、日本の数多居た人気俳優らと重ねて観ると感情移入しやすいか。

正直なところ少年とドノヴァンの回想が、大人になった少年の口から語られるという構造のせいか、お話にすんなり没入出来なかったのですが、物語を引っ張るこの二人の演技は圧巻。
ナマで感情をぶつける少年と、破滅一歩手前で足掻いているドノヴァンとの対比。彼が最後に遺したメッセージ。それを受けて現代の彼は――って流れは美しくまとまってたかな。

個人的には導入の部分で少し躓いてしまったけれど。