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風櫃(フンクイ)の少年のmiのレビュー・感想・評価

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)
5.0
青春とは痛みを知ることだと雄弁に語りかけてくれる。
不良少年は本気で喧嘩をし、包丁を投げつけられ足を切り、父や友や初恋の相手を失って心に痛みを抱えながら大人になっていく。
甘酸っぱい青春モノとは比べ物にならない熱量で展開するストーリーは筆舌に尽くしがたい。

ホウシャオシェンの初期作だが、奥行きを意識した縦の構図がキマりまくってたし、映像的にもストーリー的にもこりゃまー確実に傑作であるわけで、何ら異論はない。

ジャケットにもなってる海べりでダンスをしながら波がスプラッシュするシーンはシズルそのものであり、たまらないワンシーン。
どの時代、どの国でも、都会で生きていくには金が必要だと再認識させられた。
雑踏にかき消される主人公の声がたまらないカタルシスをもたらしてくれる。

聞きしに勝る大傑作。


しかしながら、野球経験者から言わせると、
親父の額の凹みは、大谷翔平の渾身のストレートをまあまあの至近距離で受けてもなおできるかできないかの傷であり、本能的に額には当たらないよう避けるのが人間の行動であるとすると、あんな傷できっこない。
本篇には関係ないので、このへんでやめておく。


2019劇場鑑賞85本目
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