うめ

シアター・プノンペンのうめのレビュー・感想・評価

シアター・プノンペン(2014年製作の映画)
4.1
女子大生のソポン。
父に対する反抗心からか不良達と夜な夜な遊びまわる毎日。
そんなある夜、ふとした事からいつもバイクを止めている場所が映画館であると知る。
たまたま見たフィルムに写っていたのは…
父に逆らえず今となっては病に侵されている弱い姿ではない、若かりし頃の眩しい母だった。
途中までしかないフィルム。
母の昔の恋人でもあり監督でもあった駐輪場の主ソカの協力を得て映画の完成を目指すソポン。
母を元気に、光り輝く笑顔を取り戻す為に…


舞台はカンボジアのプノンペン。
この地で過去に起きたクメール・ルージュによる虐殺。
当然、この作品においても核になっています。
世界各地で起きた悲しい事件と同様にまだまだ癒えぬ傷跡。
監督自身の当事者としての辛い経験から込められた想い。
展開も荒く、俳優達の演技もお世辞にも上手いとは言えない。
しかし、監督や制作スタッフの伝えなければ残さなければという強い熱いメッセージ。
そこには全てを超えた"something"がある。

みんなが背負う絶対に消える事のない過去の傷。
今はまだやっとカサブタになり始めたくらいかもしれない。
いつまた傷が開き、血が流れてもおかしくはないだろう。
でも、この作品によって心の痛みが減った人は間違いなくいると思う。
そして、カンボジアの人達がいつか少しでも痛みを忘れられる日が来る事を願いたい。
うめ

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