テッド・チャンの短編小説「あなたの人生の物語」を基にしたSFドラマ。映画の原題は「Arrival」直訳すれば〝到着〟だが、邦題は「メッセージ」とされた。
SF映画として見ると〝ファーストコンタクト〟までのプロセスが、かなり大雑把に省略されているが、この映画の主題はそこではない。
言語学者のルイーズ（エイミー・アダムス）は宇宙船に乗ってきた者たちの目的を知るために、彼らの言語を解読し、彼らが地球を訪れた思いも寄らない理由と、人類に向けられた「メッセージ」が判明する。
彼らが発する言語は難解ではあるが、そこは劇中でも解説があるので、徐々にではあるが理解できる。むしろ混乱するのは、時々彼女の記憶の中でフラッシュバックする娘との思い出の方だ。
この映画は、SFでありながら終盤までミステリーの要素を孕んで物語が進行していく。そして全ての謎が解き明かされた時、原題の「Arrival」の意味を知ることになる。
そう、この映画は異星人からのメッセージという壮大な宇宙の話であると同時に、極めて個人的な母から娘に語り聞かせる「あなたの人生の物語」でもあるのだ。
公開時に劇場で鑑賞した映画を動画配信にて再視聴。
