YukiKoike

メッセージのYukiKoikeのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

「メッセージ」観た。とてもよく出来た映画だと思うんだけど最後の最後、作劇じゃなくて思想の部分でちょっと相入れなかったなぁ。事前にヴォネガットぽいって聞いてたので尚更。しかし原作者テッド・チャンが「スローターハウス5」読んでないって本当なんだろか。まあ、読んでたらこういうラストにはならないか。


カート・ヴォネガットの超有名小説「スローターハウス5」は、悲惨な人生をおくる主人公ビリーが、人類とちがい時間を流れとしてでなくランダムな「点」として認識するトラルファマドール星人に捕らえられ、自らもけいれん的に時間を旅して、変えることのできない現在過去未来を(一見して)無感情なままに経験していく話。そういうものだ。

そう、「変えることが出来ない」のがミソなんだけど。「メッセージ」は自分の意思で選択して変えちゃうって話だからなぁ。なんか都合いいだけの話にも見えてしまう。

ただ、ばかうけ星人が「3000年後の危機」を言い残していくのは良いね。ユニバーサルランゲージで保てる平和は3000年限りってことだ。そのときいったいどんな破局がばかうけ星人に訪れて、人類はそれにどう立ち向かうのだろうか?!わくわく。



フォレスト・ウィティカー大佐とか若い大尉(爆発のタイムアップサスペンスが陳腐でつらい)とかCIAの人の役割が微妙。みんな多かれ少なかれ足をひっぱるだけなら全員モブでいいし、むしろそのへんのキャラ端折って、かわりにもっと中国や各国の対応に時間を割いてくれたらいいのに。

なお撮影と音楽は完璧。ヴィルヌーヴ的サービスショットの夕焼け空撮はくどいけど好き。


原作買ったので今からよむ!

→読んだので追記

「あなたの人生の物語」よかった。映画よりずっとミニマル。映画のオリジナル設定もおおむねよいと思うけど、万人の興味を引くためにわかりやすい悪者や対立を設定せざるを得ないあたり苦しい。