Takaharu

メッセージのTakaharuのレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
4.5

意外と全然レビューで書かれてないんだけど、この映画で何よりも感じたことは、アメリカの覇権国家としての凋落。これに尽きる。
宇宙人に対して「対話」の姿勢を取るっていうことは今までのアメリカ映画にはほとんど無かった。
インデペンデンスデイでも、アルマゲドンでも、アメリカが最強で突っ込んでブッ飛ばしてやるという勢いだったんだけど、それがもう無い。
逆に中国・ロシアが武力行使に突入しようとするんだけど、それをアメリカが止めようとするという何とも奇妙な展開。

「まあまあここは対話しましょうよ」というのは一見柔和で平和的な策にも見えるんだけど、一方で穿った見方をすれば、それは弱者の理論であって、自信が無いから対話に頼ろうとするんだなとも感じたね。
まさに日本が武器を棄てアメリカに対して擦り寄る様と同じ。
中・露は、関係無ぇ!攻撃しちゃうぞ!という強者の理論。

映画は世相を強く反映すると言われるし、ハリウッドなんかは特にプロパガンダに利用されるとも言われるけど、この映画で描かれていたのはかつてのアメリカとは様変わりした姿。
もはやアメリカ一国主義でもなく、世界の警察でも無い、覇権国は移りつつあることをまざまざと感じる、そんな映画でした。

映画全体としては、なかなかシュール。叙情的。
何がシュールって、デカイ宇宙船を遠巻きに映した様が抜群にシュールだったね。ダリの絵を見てるような感じで。
宇宙人の造形なんかも下手すりゃB級なクオリティに見えなくもなかったり、これ設定怪しいなっていうとこも所々あったんだけど、HGウェルズのSF小説の挿絵を見てる感覚で、悪く無かったかな。

ということで、4.5点。以上、ちゃんちゃん!
Takaharu

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