椋太

メッセージの椋太のレビュー・感想・評価

メッセージ(2016年製作の映画)
3.5
 某せんべい型宇宙船が来襲し,各国の科学者達がエイリアンたちの分析に試み彼らの目的を探索する.作品では言語学者の活躍が描かれる.

 主人公の言語学者は英語と身振りで人間(HUMAN)を書き示し彼らとのコンタクトを試みる.著者の思考は著者自身から原作へ翻訳され,原作から日本語へ翻訳される.元の思考を高い精度・確度で表す表現手段は高度な技術であり,作中で彼らの思考が高度であることを示す立体的な記号という表現はとても面白かった.
 この表義文字や鯨のような音声の分析を通して彼らの表現手段を司る思考を解読していく様に言語学の魅力を感じた.そういえば冒頭で数学的な会話を避けた表現があったが,数学は言語に含有されないのだろうか.
人類が彼らの記号を”武器を提供する”と認識し,これが”道具を提供する”ことであると理解するまで高度な思考を要した.人類文明にとって技術とは兵器であることを意味していることが,興味深い.
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