信じがたいレベルの大傑作。
生きることの素晴らしさを謳いあげる映画にはたくさん出会ってきましたが、「死」もまた「生」と同じくらい価値があるんだと、実感させてくれる映画に出会えたことが嬉しい。
過剰にカラフルでデコラティブなメキシカンデザインを、アニメーションのプロダクトデザインとしてうまく落としこんだ、見たことのないビジュアルがほんとうにフレッシュ。そこに生と死、音楽と生活が隣あわせにあるような、風土特有の人生観まで描写するんだから凄いとしか言いようがない。
小難しいことはさておき、ピクサーアニメーションならではの娯楽世界に浸り、スリリングなストーリーをめいっぱい楽しんでいたら、ふいに号泣シーンが到来。涙腺がバカになりました。
死者の国ってなんかいい感じじゃない、なんて最初は思うんですが、もちろんそれは表面だけのことで。死の本質的な恐怖もちゃんと描写されます。だからこそ逆説的に生きることが素晴らしいんだ、と観客に自然に思わせる物語展開。脚本がおそろしいほどよく練られていると思いました。なにより説教臭くないところが良い。
「死者の日」というメキシコの風習は、そのまま「お盆」に置き換えられるので、われわれ日本人は親近感を持てると思います。
見終わったあとの幸福感。あー、ほんといい映画だった。おもしろかった。
ピクサー、恐るべし。
アナ雪のつまんなすぎる短編分のスコアをマイナスしても、満点です。
