ゆず

リメンバー・ミーのゆずのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
3.8
人は二度死ぬといわれている。一度目は実際に死ぬときであり、二度目は写真が発見され、それが誰であるか知る人が一人もいない時だ。――クリスチャン・ボルタンスキー(現代アーティスト)

「人は二度死ぬ」から始まる名言・格言。いったい誰が最初に言ったのか定かではないが、著名人がそれを引用した言葉はいくつかあって、ボルタンスキーのバージョンが「リメンバー・ミー」にピッタリだと思う。「写真」という具体的な物が出てくるところが共通している。
「リメンバー・ミー」では、一度目の肉体の死を遂げた者はガイコツの姿になり死者の国へと住み処を移す。しかし、遺された家族たちが祭壇に故人の写真を飾らなくなり、故人を忘れ去ってしまうと、死者は死者の国からも消え去ってしまい二度目の情報的な死が訪れる。まさに「人は二度死ぬ」の物語である。

ちなみにFilmarksでの死とはどのようなものだろう。退会してアカウントやレビューがすべて削除されたときだろうか。でも、もし私が明日死んで一度目の死を迎えたとしたら、二度目の死はどのような形でやってくるのか。たぶんFilmarksはじめTwitterやSNSにおいての死とは、「最後の投稿から次の投稿までの間」なんじゃないかと思う。投稿や「いいね」することでしか生存を証明できないし、投稿してタイムラインに浮上しなければフォロワーに思い出してもらえないのである。誰かに観測されない限り事象は確定しない。ということは毎日投稿しないと死んでるも同じである。平気で1週間もレビューしないでいると死亡認定されてしまうどころかどんどん宿題が溜まっていき、半年前に見た映画の感想をひねり出さなければならなくなり、つらい。



3/21 リメンバー・ミー 字幕 @チネ・ラヴィータ
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