スローターハウス154

Cowspiracy: サステイナビリティ(持続可能性)の秘密のスローターハウス154のレビュー・感想・評価

4.2
2020/5/8

巨大な権力へ、ひとりツッコミ続けるこのインタビュアーの恐るべき勇気と行動力に敬意。今から6年前のドキュメンタリー映画なので、ここでの問題点に対する状況はだいぶ変わっているのかもしれない。そうだとしたら、彼の頑張りもきっとムーブメントを担うひとつとなっているだろうと思う。
クソ田舎に暮らす私の周りにも牛を飼っている者、養豚場などの畜産業が点在する。ご近所付き合いのためにあからさまな態度は取らないにしても、そのような畜産に対してこの本作で聞きかじったある種の偏見(事実ではあるのだけども)が頭に残り続けるだろう。
畜産業は世界でイチバン環境問題や食糧難を促進する原因であり、そして世界でイチバン(政府以上に)権力を握っている...という事実を発見するインタビュアー。「畜産業=世界的公害」は明らかな事実なのに、どうして畜産業縮小の言及や活動は皆無なのか?...環境省や数多存在する環境保護団体を訪ね回って三千里、しかしどこもこの重大な件については一切触れず、黙したりスットボケの姿勢を貫く。そのようにどうやら気付いてはいけない権力の闇に触れてしまったようで、この映画製作の途中でスポンサーに契約を打ち切られてしまうという始末。しかし最終的には今や環境保護活動での活躍も目立つようになったディカプリオを味方に付けたようで、こうしてネトフリでも観れるようになったらしい今作。ディカプリオ、大きくなったなァ...と図らずもしみじみ。
環境問題の改善=人類の粛清(滅亡)を意味すると愚考していた今日この頃だが、今後世界が畜産業の縮小を目指すことで、地球の気持ちを忖度して人類は自主的に絶滅する必要はないという可能性を示されたように思う...とはいえ人類は地球の癌であり続けるのだろうけれども。
しかし畜産業の権力は依然強いし、依然肉食の支持をする者も多い。世の中全体を肉食から植物食へとシフトするには、幾度にもわたる抗争や戦争という過程を経る必要があるのではないかと愚考。人類の食欲は「環境のため、未来のため」という理性にカンタンに打ち勝てるモノではないだろうから。そう考えると、肉よりも美味しいモノを自然の食材から生み出せるのか?が今後無視できない課題になるかもしれない。
そういうワケで普段の食生活を様々な面から見直させられた観賞後だが、私の場合ただ今痔の治療中により医師から乳製品の積極的な摂取を推奨されているので、肉類を控えることはすれど、乳製品の方はしばらくお世話になるだろう。