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ピアニストを撃てのT0Tのレビュー・感想・評価

ピアニストを撃て(1960年製作の映画)
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2023.7.8 32-107

切り返し、パン、長回し、パンフォーカス。カメラワークがカッコ良すぎる。これらカメラワークは、ひとつの空間で同時多発的に生じる出来事をおさめる。
レナが好きすぎる。

ドゥルーズの『シネマ2 *時間イメージ』は、追跡-逃走劇に挟まれる脈絡のない会話に着目する。
「それは言語行為でもありうるが、「古典的」な様相とは異なって、仮構作用的ないし創設的な様相を呈するのである。ヌーヴェル・ヴァーグにはその例が多数ある。たとえば、トリュフォーの『ピアニストを撃て』では、奇妙な言語行為が運動的な追跡を中断することになる。この言語行為は、偶然の単純な会話という外見をとっているので、いっそう奇妙なのだ。」(『シネマ2』pp. 342-343)

この発話行為は、視覚的に展開する追跡-逃走劇を裏切り、それ自体で展開する。これをどう考えるか。つまりあの会話において何が展開されているのか。これがこの映画の単純な追跡-逃走劇の物語を裏切る豊かさをもっいるように思わせる。

繰り返し観たい。
T0T

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