ピアニストを撃ての作品情報・感想・評価

「ピアニストを撃て」に投稿された感想・評価

Angie

Angieの感想・評価

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作られた世界観が溢れ出る、シネフィルの映画。

トリュフォーがかなりヒッチコックに影響されている感が溢れるこの作品。ピアノの軽いメロディもどこかヒッチコックっぽいハイセンスな雰囲気にさせている。
この映画の面白いところは真っ暗すぎる人の顔と、緊迫感のないあっけない追っかけシーンアンド殺人シーン。そしてラストのシャルリの表情だろう。背景が説明されないのはヌーヴェルヴァーグらしい。意味がわからず追いかけられるピアニスト。過去に関しては説明されるのだが、はっきりとしないギャング二人組にあんまし緊迫感のない誘拐シーン(ジョークを言って一同大爆笑)に、この人たちは本気なのか?と疑ってしまう。その点がものすごく作られた世界観に感じられた。ヌーヴェルヴァーグの特徴であると考えている、『リアルを切り取る』感がこの映画にはあまりない。それはやはりトリュフォーのシネフィル色特有のものだろうか?

カメラカットには非常に美しいシーンが何度かある。シャルリとレナが二人揃って歩くシーンの手のクローズアップ。二人とも揃ってトレンチコートを着て顔を見合わせる。雪山の斜面をゴロゴロ転がるレナ。死んだその表情。暗闇の車内から聞こえるラジオの曲。そしてラストシーン、どこかを見つめているシャルリの表情。彼はこうして恐ろしい過去を2つも抱えながら、再びピアノの前に立つのであった。
がく

がくの感想・評価

3.8
「夜が来るのは止められないわ」


『大人は判ってくれない』に続き、トリュフォー2作目の鑑賞。

サスペンス風で始まるが、中心となるテーマは愛なのか…?
トリュフォーの2本目の長編で、演出は前作同様悪くなかったとはいえ偏執的な点が少ないせいもあってほんの少し見劣りのしてしまう作品だった。

過去に傷を負ったピアニストを演じたシャルル・アズナブールが赤い彗星の名前の由来とは思えない容姿でまず驚いたが、突然挿入される歌唱シーンとか敵役二人の間抜けさとか後のトリュフォー作品であまり見られないような要素も結構あって、そこにも結構驚いた。

しかし末弟の様子とかスピーディな演出やカメラワークとかは前作に通じる点に思えたしクライマックスの一連も見事だったから、子供を描いたような作品と比べて魅力は多少減じていたとはいえそれでも十分面白く、トリュフォーってやはり才能凄まじかったんだなと改めて感じた次第だった。
taka181

taka181の感想・評価

3.8
過去を引きずって影がある、なぜか女が寄ってくる、むっつりスケベ、自分は悪くないのに事件に巻き込まれる。まるで村上春樹の主人公みたいなピアニストのおはなし。しかしトリュフォーという人は、心底お茶目な人なんだろうなあと思いました。キザに格好つけないところが本当に好き。
Tyga

Tygaの感想・評価

4.0
ピアノを弾きながら彼はどこを見つめていたか。

ひとつずつの場面場面が素晴らしい。
色んなどきどきとはらはらがある。

巻き添えになる人はいても、肝心の争いの当事者は生き、争いは続く。
そして、巻き添えになった人も生活をしなければならない、ただひとり彼女を除いて。
ヌーヴェルヴァーグの旗手、フランソワ・トリュフォー監督の長編第二作。印象的なオープニングのピアノ曲のシーンです。

悲しい過去を持つカフェのピアニストに歌手のシャルル・アズナヴールを起用、彼を慕う女性をマリー・デュボワが可憐に演じる。ひっそりと身を隠すように暮らす天才ピアニストが、思いがけずもギャングの抗争に巻き込まれるトリュフォーらしい即興風フィルム・ノワール。ジョルジュ・ドルリューの音楽が物悲しくも印象に残る。
よく知らないで借りたのだけど、トリュフォー版ノワールだった。なんか少し笑えるシーンがある。ニコニコしてるドラマーとか、フィド相手に自慢し合う敵役とか。女に背を向けて待たせてはいけない。
このサスペンスはどこかB級で展開も不思議な感じ。でも奥深い。シャルル・アズナブールの終始憂いを含んだ表情が何とも言えない。最初から最後まで愛があふれてる。
逃れられない自意識と血縁の闇。希望を失った状態でもピアノを弾き続け自我を保つしか生きる術はない。
以前に見た記憶の中でヌーヴェルヴァーグのノワールだったと美化されていた。とにかくジョルジュ・ドリューの音楽とアズナブールの演奏が良かったです。

アズナブールの不思議なニヒル感とミュージシャンならではの生々しい(悪く言えば別の言い方になるけれど)演技、それが全編に染み渡る!

当時はあまりヒットしなかったというが、今では間違いなく‘観れるだけで’ありがたい映画ですね。アパルトマンの中庭を女性が歩くシーンでカメラが下から撮っていて、通り過ぎると今度は後ろ姿で抜けて行くのが凄かった

アズナブールを追う二人組が鈍くて悪人ぽくない😂
そして女優陣の中では、当時トリュフォーが恋していたマリー・デュボアより、主人公の妻役のニコール・ベルジェが光っていた✨

何と、7年後に若くして交通事故で亡くなっていたという。
生きていたら大物女優になっていたのではないだろうか、、

それにしても監督が恋するマリー・デュボアの最後はもう少し綺麗にしてあげてほしかった
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