くぼみちゃん

ぼくのエリ 200歳の少女のくぼみちゃんのレビュー・感想・評価

ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)
4.4
こういう映画が好きだ。圧巻でした。衝撃でした。書きたいことが沢山あります。
まずは誰が観ても感じると思う”美しさ”について、本当に何を取っても美しいですよね。
とにかく12歳の男女役者2人の整った顔立ち。いかにも虚弱体質といった白く細い身体と儚げな中に芽生え始めている思春期独特の強がり思考のオスカー少年を上手く演じてます。
エリの方も12歳の少女というだけではない、潜んだ魅力を絶妙な艶やかさと闇で包み込む素晴らしい演技。

役者以外の美として、スウェーデンの幻想的な雪景色とその色使いは見る者を不思議と引き込んでくれました。最高です。
そしてその映像美の他に物語に深みを加えるための時間的な”間”が加わり、何とも物々しい陰鬱な日々を作っているんだと思います。それがまたなんとも言えない重苦しい雰囲気を醸し出していて、どうも普通じゃない感じを楽しませてくれるんですよね。

そして、この映画は決してうるさくないんですよね、ものすごく静かなんですけどものすごく語っているという…。会話で伝えること、動きや仕草表情で伝えるという作り方が本当に秀逸で心を奪われました。

大切な所を言葉を使って表現しないからこそ、色んな想像や考察が膨らむ所がいい所なんです!

あんまり核心に触れるとネタバレになってしまうんで、内容については端折ります。しかし、日本語という言葉がこのストーリーの1番重要な所で解釈を曲げていることは確かです。そして、映倫なんて馬鹿げた規制がまたまた重要なシーンを、決定権を台無しにしていることも確かです。

原作を知っている方なら良いんですが、初見の方はまずは映画を観て、そして絶対にネットかなんかで解説を観ていただきたいです。
本当の意味が分かるはずです。

久しぶりにグググッ心を鷲掴みされました。すでに小説は購入してあるんでじっくり楽しみたいと思います。