プライ

キングコング:髑髏島の巨神のプライのレビュー・感想・評価

4.3
モンスター・ヴァース2作目。

視覚的な恐怖と悪趣味なキモさで魅せる怪獣たちへの畏怖。登場人物による陽キャな掛け合いと、登場人物が抱く怪獣に対する畏怖を切り替える剛腕な舵取り。キングコングの役割に対する人間たちの思想や争いを通して伝わる異種交流のテーマ。見せ方も登場人物もテーマも胸が高鳴るほどの面白さが詰まっている。なんだか、スピルバーグが作りそうな怪獣映画だな。

1作目のゴジラ同様にキングコングの巨体は一目見て畏怖を覚える。舞台が街から島になったことで建物を破壊する描写が消滅した分、人間の人体へダイレクト・アタックすることで襲われる恐怖が視覚的に跳ね上がっている。もはや生々しくもある。キングコング以外の怪獣たちも人間へダイレクト・アタックするため同様の恐怖を感じる。怪獣によっては、かなり悪趣味な見た目と攻撃方法がある。ゴジラとムートーの動きは全体的にスローであり似たようなモーションでバリエーションが少なかったが、キングコングたちは手足を振り回してアグレッシブ動くから、画の動きに楽しみが多い。視覚的な恐怖と悪趣味なキモさで見せる手法が、なんかスピルバーグっぽい。

1作目の『GODZILLA』と比べて登場人物たちに色が付いた。『GODZILLA』ではシリアスな空間で登場人物全員が困り顔を作って「困ったな〜」と怪獣たちを眺めてばかりだった。だが、本作は陽気な雰囲気を序盤で生成し、登場人物たちがジョークを飛ばし合う陽キャとなっており活気がある。特に物語の核へ直結するわけではないけど、1人1人が覚えやすい。(何名か居なくてもいい登場人物も居るけど。)また、序盤でワイワイして後にキングコングと遭遇して怯えてるギャップはホラー映画のような手法であり、キングコング登場の掴みとしてはバッチリ。とはいえ、陽気なBGMが流れたり、キングコング襲撃でもユーモアを導入したりする点は歪なバランスではあるが…。けど、見せ方とハイテンポな展開で恐怖とユーモアを剛腕な舵取りで切り替えている。なんかスピルバーグがやりそう。

本作のキングコングの役割は1作目のゴジラと同様である。だが、1作目のゴジラが終盤で役割を確立するのに対して、本作では中盤あたりで確立。役割が把握した分、キングコングに対する登場人物の思想が人間ドラマとして迅速に機能し、争いを通した異種交流のテーマが伝わりやすくなっている。

『GODZILLA』に続き、またしても登場人物がマーベル映画キャスト(トム・ヒドルストン、ブリー・ラーソン、サミュエル・L・ジャクソン)が揃ってる(笑)


⭐評価
脚本・ストーリー:⭐⭐⭐⭐
演出・映像   :⭐⭐⭐⭐⭐
登場人物・演技 :⭐⭐⭐⭐
設定・世界観  :⭐⭐⭐⭐
星の総数    :計17個
プライ

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