故郷に縛り付けられた自意識と、国境を突き抜けてゆく自意識の共鳴。地域に根付く温かさとのコントラスト。踏みにじられた無敵感の甦生。椿とペティキュアの赤。GONIN以来のバッティングセンターの味。若き才能たちの伸びやかな乱舞。粗はあれど。テイストもテーマも実に新鮮かつエモーショナル。
まるでゴダール全盛期に君臨したアンナ・カリーナや、アントニオーニを骨抜きにした『情事』のあの翌朝ミラクルなモニカ・ヴィッティのように、妖艶さと初々しさとを兼ね備えた、被写体としての小松菜奈の美しさだけでもこの映画を見る価値はあるというのに。
注) 要するに小松菜奈好きってだけじゃねーかという突っ込みはご遠慮くださいますようお願い申し上げます。そうでもあるけど。それだけでもない。