しゅんまつもと

溺れるナイフのしゅんまつもとのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
4.1
対岸を歩く二人、火祭りと水飛沫、水中を浮かぶ気泡の美しさ。
なるほど、確かにこれは破綻した物語の上にある煌めきの瞬間が閉じ込めれた映画だ。
とくに終盤の顛末の決着のつけ方とかに関してはある人物を犠牲にしすぎじゃないかとか、皮肉を交えた演出と本筋がシームレスすぎるところとか。音楽の使い方に関してもやっぱりあんまり好きじゃない。

それでもあのラストシーンにこんなにも心奪われるのはなぜだろう。
それはきっとこの映画が「解放」の映画だからじゃないだろうか。そういう意味では「千と千尋の神隠し」に則って終盤に2人の飛翔シーン(この映画では海中のシーンの方がいいかもしれない)がピークに欲しかったという勝手な希望。