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溺れるナイフの月のレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
3.7
本作は青春の爆発、あるいは漏出がある意味醜いまでに描かれているのが何よりの見どころだ。特記すべきは青春の可視化。「青春」という超個別的で非普遍的な複雑概念を、どう観客に伝達するか。この問いにすっと答えられる監督はそう居ないだろう。だが、山戸監督はこの能力において他を圧倒している。彼女は青春という見えない激動を、森羅万象をスクリーンにして映し出した。理不尽な愛の暴走は波や炎に姿を変え、我々の目前に出現する。これらは我々が止めようと思って止められる現象なんかではない。青春はいつも自分勝手で、そして何よりも絶対的だ。
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