Yuri

フランス組曲のYuriのレビュー・感想・評価

フランス組曲(2015年製作の映画)
3.0
うーん、ミシェル・ウィリアムズは、いつまでお嬢さん的立ち位置でいるつもりなのでしょう(*_*) 今回は、アンニュイな人妻お嬢さんでした。ビシッと迫力のあるクリスティン・スコット・トーマスとの対比が、良かったです。完全に女性目線での戦争を描いているので、リュシルたち、田舎町の女性にとっては、戦争も、義母との確執も、毎日のきつい農作業も、全部同じ出来事なんです。それでも、村に人を殺した人間が銃を持ってうろついたり、家族の大事なものや、家を取られたりする中で、徐々に、戦争が占める割合が大きくなっていって、同時に、困った事に、家に滞在するドイツ兵ブルーノが心を占める割合も、比例するように大きくなって・・・というお話でした。それでも、そのままなし崩しに愛に溺れるわけではなく、敵や鬼に見えても、本当はそうではなくて、人と人として心を通わす事の出来る存在なのだと理解し、互いに、思いやろうとする姿が、丁寧に描かれています。最初は、冷たい搾取人に見えた義母や、余裕がなくリュシルたちに敵対心を見せていた農民が、人間らしい感情を見せ、行動する姿には、心を打たれました。違う考えや人種に見えても、一人一人向き合えば、思いやり、心を通わす事が出来るのだと、そうして交わした時間や想いは一生ものだと、ただ愛し合うだけではない二人を観て、争いの無意味さを、ヒシヒシと感じる作品でした。
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