期待値が高過ぎたのか、最初のシーンで三浦友和のとにかく不穏な演技に圧倒される。
小さな小さな描写をコツコツと積み上げてそれぞれの人物を丁寧に描いているところは良かったところだと思う。
演技陣も概ね、ハマっていると思うし、南果歩、田中麗奈などは新境地という気もする。
若葉竜也の不穏さは「美しい星」の時にも折り紙つき。
ただ演出がちょっと露骨というか、あざといというか。そこはちょっとだけ見えてる方がいいとか、さりげなくやって欲しいなというシーンも結構あった。
そのほのめかし部分が、露骨であったのは映画というよりもやっぱり演劇的だったのだろうと思う。
そこがもったいなかった。
ただ部分部分は非常に良いな、と思うところはあって、南果歩、新井浩文、若葉竜也の3人ではなんとなく家族になってるところにやってくる三浦友和の場違いなことを言いまくるあの変な感じや、拘置所での若葉竜也と田中麗奈の会話など、何かとんでもないものを観ているような気持ちにさせるところは豊富だなぁと思う。
そういう映画としてしか見せられない時間、感じられない感情を映像を通して見せて欲しいって改めて思ったので。やはり、全体的に舞台に寄ってたのかなぁと思う。