烏丸メヰ

フリーキッチンの烏丸メヰのネタバレレビュー・内容・結末

フリーキッチン(2013年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

母子家庭の食卓にまつわる母の狂気と、それを知りながら葛藤する息子。

個人的に、社会派系と自負するような邦画が好き好んでやる
・エンタメ性のない暗く陰鬱なだけの露悪ムード
・自然な日常っぽさを出すには中身のない世間話シーンを挟めばいいだろう的な“何も起きていない繋ぎシーン”の映画的でない(観ていて何の感情も起こらなければ画的にも面白くない白々しさでしかない)冗長さ
・奇抜でショッキングなテーマを描こうとするわりに、それ関係の技術や見せ方の弱さ
が全て嫌いなため、この「邦画らしさ」とか「邦画が気取りがちなダーク路線の雰囲気」を完全に満たしていたこの作品とは相性が悪かった(これらが好きな人を否定はしないです。私がただ個人的に好きでないだけの話)。

日本の作品で「人肉食」を描く珍しさは揺るぎない個性だが、人肉食と母親の殺人・解体の狂気を主軸にしているわりにゴアや人肉ならではの調理等の描写が弱すぎる。
グロが少なくて物足りない、的な残酷耐性自慢がしたいわけではなく、食べるだけでなく屠殺までも性癖に持つというショッキングなテーマを押し出してるのに、手元映さない・既に解体後(精肉と調理済)ばかりなのは物足りないどころのレベルではなかった。
後ろから引きずりやフック等、某テキサスチェーンソーを思わせる素振りもあるのにゴアをとことん見せない為オマージュにさえなっていない(それとも普通にオマージュの意図ないのかな)。

筋とオチはスリラー的で好き。
だが内容に対して長い(からやたらと前述の世間話パートが水増しのようにキツい)し、画として気に入るシーンも無かった。
薄味の「雰囲気スプラッタヒトコワ」。ヒトコワとしてのインパクトは強いので、ヒトコワ好きには刺さるかも。
烏丸メヰ

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