らぶずきゅん

ガタカのらぶずきゅんのネタバレレビュー・内容・結末

ガタカ(1997年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

【記録用】
SFの2ちゃんまとめで取り上げられていたため、ひねくれた2ちゃんねらーが言うのであればと思い、見た次第である。

内容としては、お手本のようなSF映画であった。遺伝子で全てが決まる世界。主人公は、弟よりもずっと劣等遺伝子かつ早死。そんな彼が最強遺伝子とタッグを組み、遺伝子社会を逆手に取り、宇宙飛行になるという夢に挑む物語。物語を通して、この社会は、顔など覚えていない。遺伝子というデータのみを見ている。誰も顔など覚えてないから、主人公が入れ替わっていても誰も気づかないのだ。
限界を決められた遺伝子社会のテーマの中に主人公と遺伝子提供者であるジェローム、恋仲であるアイリーン、弟、そして医師。それぞれとの関係が深く掘り下げられており、遺伝子を通した繋がりが繰り広げられる。特に良かったのが最後のシーン。主人公は最後の検査で医師にバレてしまう。「右利きは左手で用をたさないんだよ」と。だが、医師は全てを知っていたかのように主人公に言葉をかけ、見逃すのだ。医師はずっと主人公を見ていたのだ。例え、劣等な遺伝子でも抗い、努力して最強遺伝子を演じてきた。その力は、本物であり、医師も認めるところだったのである。彼の遺伝子ではなく、彼自身を認めたのである。この私はこのシーンが1番好きだ。
また、遺伝子提供者であるジェローム。彼は主人公が困らないように一生分遺伝子を備蓄し、主人公がロケットに乗ると同時に自殺する。最強遺伝子を持ちながらも銀メダルだったジェロームは自殺しようと事故に遭うも死ねなかった。その後、主人公と出会い、ジェロームの生きる希望は彼が宇宙に行くことに変わったのだと思う。彼の髪の毛は主人公と共に宇宙へ行く。そして、彼は役目を終えたかのように銀メダルを抱き、自殺する。主人公は宇宙に行き、新しい旅に出るのと同じく、ジェロームも自殺という名の新しい旅に出かけるのだ。
古いSF映画と侮っていたが、遺伝子というSF要素に人間関係を深く絡めたとても面白い映画であった。