まっつん

キングスマン:ゴールデン・サークルのまっつんのレビュー・感想・評価

3.6
新年早々に鑑賞していたのですが感想を書くのをど忘れしていた本作。んーマシューボーン大変だったのね.....という印象。

まず個人的には前作が考えられないくらいの傑作だった訳ですよ。不寛容な差別主義者や自分たちのことしか考えていない金持ち達を映画の中で次々とぶち殺してくれた前作。その反骨精神に強く打たれたし、未だに大好きな作品ですよ。また「人間は生まれではない」という普遍的かつ正しいメッセージもあった訳です。

そしてその続編の本作ですよ。まず本作はプロットに結構な問題があるように感じてしまいました。特にハリー周辺のプロットはどうしても納得できない部分がありますね。ハリーが中盤で「ステイツマンのウィスキーは裏切り者だ!」と言って突然射殺するわけです。んでその理由は「カン」以外の何者でも無いわけですよ。確かに病み上がりで調子の悪いハリーに不安になる展開にしたかったのは分かりますがもっと納得できる落とし前のつけ方があったのでは無いかと思います。

さらにマシューボーン特有の乱暴さが前作のキャラクターへの愛をあまり感じないものになっているのも人によっては嫌悪感を抱かせるものかもしれません。だっていきなりキングスマンほぼ全滅ですからね。あっという間に更地にしてしまう横暴さみたいなものが良さでもあるんだけどちょっとやり過ぎかなと思いました。

てか本作は諸々のパワーアップのさせ方がやっつけ感すらある程に乱暴だと思いました。特にもう頭撃たれても死なないのね!っていうのは驚きでした。それに対して前作にあったアナーキーさが鳴りを潜めているのが大きく不満でした。確かにポピーズランドをぶっ飛ばす下りは1950年代アメリカ黄金期の欺瞞を暴くような快感がありましたがやはり前作ほどでは....と思ってしまいました。

アクションの面に関しては相変わらずキレッキレで非常に楽しめましたし、雪山でのシーンは撮影のトリッキーさも込みで本作の白眉といえると思います。

最後にもう一つ野暮な不満点を挙げるとすれば本作で最も期待していたチャニングテイタムがほぼ全編に渡って寝てるだけというガッカリ感....スケジュールの都合でこのような事になったそうですがあまりに残念である....