2015.10.27 新宿バルト9(TIFF)
AがあってBがあり、さらにそれがCを導く。因果関係。仮にAがA'であったらBもB'になり、あるいはCは似ても似つかぬYにすらなるかも知れない。「あり得た他の可能性」についての考察。特段意識してそんなことは考えもしないのがわれわれの日常だろうが、しかし人生とは「可能態」の連続だろう。なんでもあり得るが、なんでもはあり得ない。ホン・サンスは正しい方/間違った方(これはもちろん絶対的なものではない)、を二部構成的に連結/反復させ、さらに緩い、と見せかけた周到な演出でその機微をたくみにあぶり出す。策士、ホン・サンス。しみじみすばらしい。あ、男女の淡くて、しかし色っぽいおはなし。