福井康之

バジュランギおじさんと、小さな迷子の福井康之のレビュー・感想・評価

4.8
パキスタンの山奥に住む言葉を喋れない小さな女の子シャヒーダーを心配した母親は、インドの寺院に願掛けに行った帰りの汽車で逸れてしまう

「パキスタンの連中はインド人を惨殺した。」

インドに残されたシャヒーダは、ヒンドゥー教の信者パワンと出会い母親探しが始まるのだが、パワンはバカがつくほどの正直者でお人好しだった

「お許しを、寺とモスクの違いを知らないんです。」

シャヒーダーがムスリムであると知り戸惑うパワンだったが、そんなことお構いなしに懐いてくるシャヒーダー

「異教徒だの何だのバカなことを気にしないで。」

シャヒーダーがムスリムであると分かった途端に、宗教や人種の壁が立ち塞がり、はたまたバカ正直者を騙して金儲けを企てる野郎にまで悩まされ、パワンは自らシャヒーダーをパキスタンへと送り届ける命懸けの旅へ出ることを決意する

「確かに旅券もビザもないし、ツテもないけど、ハヌマーン様と同じくラーマ神を慕っている。」

宗教間の壁がとんでもない苦難になってるにも関わらず、やっぱり最後は宗教の力ってんだから信者て良くも悪くも最強だよね。様々な人種が様々な神を創り出した世の中で宗教で人を殺し、宗教が人を助ける。

「バカなのか?全員撃たれちまうだろ!」

この物語はバカ正直でお人好しな男が宗教も人種の壁も乗り越えて当たり前のことをする話やけども、パワンの行いは理にかなってるとは言えやりすぎだよ。あれじゃ同じことを現実でできると思った人が殺されちゃうよ?

「入国の動機は一つ…愛でした。」

前半のインドでは歌って踊って楽しいミュージカルっぽい要素もあり、後半にかけてのパキスタンの大自然の景色に雰囲気のいい歌とのロードムービー的要素とラストは必見の最高な映画でした。

「子供に憎しみではなく愛を教えましょう。」

ネットは怖いとこもあるけど、あらゆるボーダーラインを超えて直接人々を繋ぐ力もあるよね。これを単なるエンターテインメント映画としてではなく、世界中の人々の願いが作った映画だと思っておきます。なによりシャヒーダー役のハルシャーリ・マルホトラちゃんがめちゃくちゃ可愛いです。
福井康之

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