かじドゥンドゥン

アドバンテイジャス/アドバンテージ 母がくれたもののかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

3.0
AIが人間の労働を広く代替している近未来。人間、特に女性の就職は狭き門で、殺伐とした学歴社会・格差社会。自分の存在意義を問われる毎日。

主人公のアジア系中年女性は、若返りと美容の技術を研究するバイオテクノロジー系大企業で、長らく「顔」(看板)として活躍してきたが、年齢を理由に突然、解雇される。女手一つで娘を育てている彼女は、娘をエリート校へ進学させるために、どうしても金が要る。そこで、若く美しい別人の脳に自分の記憶をコピーして、自分の代わりに生きさせるという、いわば擬似若返り技術の実験台を買って出た。

ところがこの技術はまだ未完成で、気管系に不具合が生じるのみならず、記憶のコピーが必ずしも感情のコピーではないようで、母娘関係は大きく動揺する。複製し損ねた娘への愛情を、どう後付けで補完・生成するのか・・・。

容赦ない競争社会において、我が子だけにはハンディを負わせまい、アドバンテージを、と考えるのが人情だが、多大な自己犠牲をともなう親の「愛情」が、子にはむしろプレッシャーとして引き継がれるとしたら、もはや呪いの連鎖に近い。