「恋愛適齢期を過ぎた中年が若い娘に恋をしようとする」というトリュフォー的な題材をピエール・エテックスが手掛けるとこうも違うものなのか。若い秘書との火遊びをしようとしても妄想で力尽き、一線をこえることなく結局は最後の一言で関係を締めくくる主人公のコミカルさの中にある切なさは年齢を重ねるごとに身に沁みるはず。
エテックス監督は身近にあるちょっとしたコミカルな動作を積み重ねて爆発的な笑いへと結びつけるのが上手く、冒頭の結婚式では来客のやりとりから主人公の夫と妻への流れで存分に発揮されている。それと随所に登場する主人公の妄想シーンがあまりにも下らなさすぎて笑える。
奥さんが上白石萌音に結構似ている、多分萌音さんの10年後はこんな感じの女性になっていそう。あと秘書を演じる女優が結構な美人さんで中年男性が憧れる若い女性像にぴったり。
ラストの夫婦のやりとりが笑えて心が癒される。
コメディタッチの作風ではあるが主人公が秘書を見るときの髪や顔のアングルがアーティスティックだったり、主人公が途中から乗る車のかっこよさだったりと監督の鋭いセンスが光る。
主人公のやりとりに気を取られてばかりのウェイトレスと彼にビールを取られてばかりいる常田富士男にそっくりの中年男のコミカルな挙動に爆笑。