このレビューはネタバレを含みます
「魔法少女ユキコ」という日本のアニメに憧れる女の子が白血病で、その子のために高額なユキコのドレスを父親が買ってあげようとしたのをきっかけに、いろんな悲劇の連鎖が次々と起こるサスペンス映画。
もうねぇ、とにかく救いがない。タイトルのキュートさも、ヴィジュアルのピンクのポップさもどこにもありません。後味の悪いスパニッシュ・ノワール。アリシアの父ルイスからバルバラへ、そしてバルバラの恩師ダミアンへと、メインが変わりながら描かれていくのですが、とにかく悲劇が連鎖していきます。そして、いろんな男を魅了するバルバラは魔性の女「マジカル・ガール」であり、悲劇の媒介にも思えて。
「ブリキ」という合言葉は何を意味しているのか?合言葉のない「トカゲの部屋」の中で何が行われているのか?直接的な描写がわざと描かれていない上に、説明的なものも一切ないから、何が起きているのかがハッキリとわからなくて、イマジネーションを掻き立てまくられました。逆に怖い。
架空のアニメ「魔法少女ユキコ」の主題歌として、長山洋子のアイドル時代のデビュー曲「恋はSA-RA SA-RA」が流れるのですが、この選曲はかなりナイス。ラストでドレスを身に纏い、魔法の杖も携えて魔法少女になれたアリシアちゃんが撃ち殺されるときにも流れてて、かなりシュールでした。エンディングでは、美輪明宏「黒蜥蜴の唄」のピンク・マルティーニがカヴァーしたヴァージョンが流れてます。