白血病の娘アリシアを持つ父親のルイス。余命僅かな彼女の夢である日本のアニメキャラクター、「魔法少女ユキコ」のコスチュームを手に入れようとする。あまりの高額で金策に奔走するルイスだが、やがて事態は思いもよらぬ方向へと進んでいくサスペンス映画。
これはなかなかの良作。あらすじだけだとルイスが娘へのプレゼントを手に入れるために頑張るようなドラマ映画を連想しますが、ところがどっこい、物語が進むにつれて主人公が変わっていくという驚きの展開。
ルイスに始まり、人妻のバルバラ、元教師のダミアンと局面ごとに映画を牽引する人物が変わる。これは意外なところでした。
そして作風はずっと静か。だけど間違いなく進む不穏な空気。巡り巡るこの物語の主導権。必要以上に説明はせず、登場人物たちの背景や気持ちを読み取る形にも集中が切れません。
最後はどんな結末を迎えるのが。その終着点は何も知らずに確かめてみてください。ただし結構しんどい映画だと思うので、体調が良い時にご覧ください。