イチロヲ

華魁のイチロヲのレビュー・感想・評価

華魁(1983年製作の映画)
4.0
間夫を惨殺された花魁が、失意のうちに廓からの脱出を決行するのだが、次第に間夫と同じ顔立ちの人面疽が皮膚に浮き出てしまう。谷崎潤一郎・著「人面疽」を実写化している、エロス文芸。筆者は原作を読了済み。

原作小説は実世界と劇中劇の相互作用を活かした作劇となっているが、本作では「劇中劇の部分のみ」を抽出した内容となっている。従って、脚色の妙はあまり感じられないが、「刺青(しせい)」の要素を織り混ぜるという味付けが施されている。

女郎屋という異空間の再現が素晴らしく、視覚と聴覚をビンビンに刺激してくる。女郎たちの廓言葉は再現されていないが、春画から飛び出してきたような、艶っぽい映像が病みつきになる。なお、濡れ場では本番行為をしている。

後半部になると、間夫の呪詛を抱えたままの主人公が、新しい間夫となるアメリカ人と接触。ここからは、ネタバレ厳禁のエログロナンセンスへと突入。訳ありのワンポイント・タトゥーを残している、現代の風俗嬢と重ね合わせてみるのも、また一興。
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