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カルテル・ランドのDAIのレビュー・感想・評価

カルテル・ランド(2015年製作の映画)
3.8
『ゼロ・ダーク・サーティ』などのキャスリン・ビグローが製作総指揮に名を連ねた、
メキシコ麻薬戦争の闇に迫る衝撃のドキュメンタリー。
一般市民も巻き添えとなり、数多くの死者が出ている過酷な現実に切り込んでいく。
監督は、ドキュメンタリー作品のプロデューサーなどを手掛けてきたマシュー・ハイネマン。
麻薬戦争の最前線に乗り込み実態を映し出した本作は、第88回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた。

メキシコとアメリカの麻薬カルテルの問題に、
ここまで深く切り込んだドキュメンタリーは今までなかった。
監督の不屈の精神と長期間の撮影により、
これほど純度の高い作品に仕上がったんだなと納得。

自警団は違法だけど、合法の国よりも国民をきちんと守ってくれる。
でもやはり合法じゃないからダメという意見ももちろん出てくる。
そして自警団も町の住民を自分達が守っているという奢りから、
住居侵入や略奪などカルテルと変わらない事をするモノも出てくる。

人間の欲望ってのは果てしなくて、何かを得たらまた他の何かを欲する。
自警団も最初は住民を守るだけど充分だったのに、
次は国や住民全てから認められたくて、合法の集団になろうとする。

麻薬を密造してる人々も、そのお金で自分たちの車や銃を買っていて、
ある意味国の経済を回しているいって、
自分たちは必要悪だと説いている。

もう闇が深すぎて、見終わった後心に重しを乗せられたようにズーンてなります。
それでも一見の価値はある良作です!
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