Eike

ラスト・シフト/最期の夜勤のEikeのレビュー・感想・評価

3.0
新人警官のジェシカ・ローレン(Juliana Harkavy)は赴任の初日に翌日廃止される警察署の建物に詰める任務を与えられます。
すでに内部はほぼ空っぽの状態ですが過去の犯罪物証の保管物の引き取りが終わっていない状態。
夜から翌朝にピックアップ隊が来るまで一人で夜勤することに。
この署では1年前にジョン・マイケル・ペイモンという狂信者が率いるカルト集団が引き起こした連続殺人事件を巡って混乱が発生。
署の移転にはそれが関係しているとも囁かれているのですがジェシカはそれが意味することを身をもって経験することに…。

という出だしのプロットはもちろんJ・カーペンターの「要塞警察」ですね。
無人の警察署にたった一人で夜勤勤務する羽目になる女性警官の身に起きたスーパーナチュラルな現象を中心に据えた「オカルトホラー」であります。
とは言うものの、移転前夜とは言え一人きりと言うのはちょっと不自然ですね。
しかし本作、中々侮れない。

ビジュアルやプロットからは悪鬼とかした亡霊が襲い来るような印象があります。
そういう面もあるのは事実ですが序盤は過剰な演出を控え、奇妙な音やタイミングのずれ、
ジェシカの見る幻影などを中心に、ひたすら不気味さの蓄積に集中した作りになっております。
単調にならないように凝ったカメラアングルなども取り入れて中盤までイイ感じで怪のビルドアップも出来ております。

しかしさすがに延々と同じトーンで押し通されると間延びした感が出て来る訳で…。
中盤辺りからかつてこの署内で起きた事件の顛末とジェシカ自身との因縁が明かされていくわけですがその部分はちょっと説明不足かも。
入り込んできたホームレスの言動に関してもいかにも曰くありげなのに扱いが雑なのは気になりました。
ただ、その分ショッキングな描写のレベルを徐々に上げるなど、配慮が見て取れるあたりは好感触です。
ジャパニーズホラーの影響なども伺える気がするのも興味深い。
ただ実際のところ、その手の描写は思いのほか抑制が効いており、露悪的なシーンは限定的。

よく考えてみれば人気のない建物ひとつの舞台設定にあの手この手でひたすら不気味な展開を盛り込んでオカルト映画らしい雰囲気の構築に成功しているわけで意外とスマートな出来といった印象です。
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