miwka

さざなみのmiwkaのネタバレレビュー・内容・結末

さざなみ(2015年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

結婚45年を迎える老夫婦に訪れた小さなさざなみが、津波へと徐々に発展していくのを描く、世にも恐ろしい物語。

前半ちょっと違和感があった。
45年以上も前の、亡くなったパートナーに執着?そして結婚前の夫のパートナーに本気で嫉妬…?
こんなに信頼しあって見えるのに?
過去で時が止まった関係に対してだから執着と嫉妬が強く出るのか…?彼の言動は確かに彼女をイライラさせて当然だけど。

彼女がスライドを見るシーンでこのモヤモヤが、総て解消された。
夫の執着は、自分の血を分けた唯一の存在に対してを含んでいた。ただの恋愛感情ではない。そして2人を失った哀しみと後悔。死を身近に感じる年になっているからこそ、より執着するのだろう。

そして、2人が飼ってきた犬の歴史まで美しく保存する妻。彼女の嫉妬は、決して彼女が得ることのなかった、夫の過去の愛の圧倒的な証拠を内蔵する女性に対してだ。

そこに執着している夫が許せないのは理解できる。絶対的な裏切りであり、激しい嫉妬を生む。
夫の誠意は総て茶番に見え、取り返しがつかない。

何も言わないのに、シャーロット・ランプリングの心の変化が手に取るようにわかって恐ろしかった。

うちに秘めた物が恐ろしい、熟年夫婦の妻といえば、「天才作家の妻」のグレン・クローズがNo.1と思っていたが、この作品のシャーロット・ランプリングも本当にすごかった。
特にラストは心臓がドキッ!!とした。

9
33
miwka

miwka