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シティ・オブ・ゴッドのhokaのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
3.2
昔Cunard Royal Viking sunという当時最高ランクのクルーズシップに乗って60日間中南米を旅する機会を得た。
私は所謂似非ツアコンの立場だったので、勝手は出来なかったが、いい経験になった。

乗船客の多くは夫婦連れだったが、元気な未亡人が目立っていたので、食後の社交ダンスの相手をするホスト達がたくさん乗船していた事で、それまでの女性はか弱いというイメージは完全に覆された経験だった。
女性は生命力が高くしぶとい。

その旅でリオにも立ち寄ったがPão de Açúcar、Cristo Redentor、Copacabana等観光名所を周る時に見上げると、山上に軒を連ねるスラム街が張り付いていたのを記憶している。

そう、リオにはカーニバルやサンバや紐水着以外の顔があるのである。

与えられた環境で生き抜く為に、当たり前に盗み殺す。
つくづく生存権に優先すべき法はないという事だ。
法の執行者である警察がアレなのだから。

リトルゼとベネのコンビがアンジェリカによって分断され統治の均衡が崩れた為、崩壊するバランスの中で激化する抗争。

ギャングの抗争の中でも、何とか正当性を保とうとするマネの興味深いキャラクターは、130分の長尺映画の興味を持続させてくれた。

国の政界も財界もこの問題にはとうに匙を投げて蓋をしてしまっているのだろう。

負の連鎖をラジカルに見せられると同時に、
生き抜く根本的な逞しさを示唆してくれる映画だった。
因みに私はサンバよりもボサノヴァの方が好みです。
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