スピード感に満ちた“アパートの物語”の章を観ていて、誰もが思うであろうこと。
「ゼリアだのグランジだのアリストテレスだの、出てくる人間の顔と名前を必死こいて覚えたのに、こんなアッサリ終わるのかよ!」
これをエンターテインメントと言い切ることはできませんが、宣伝文句ほど骨太な社会派ドラマじゃないと思いますよ。
よく動くカメラと妙に手の込んだ編集が狙いすぎてるのは明白。終盤の風呂敷の畳み方なんて、モロに娯楽映画のそれだし。
あ、でも動線の使い方は抜群に良かった。特に60年代の荒涼としたスラムを“優しき3人組”が縦横無尽に駆け回るところ。
逃した鶏のためだけに鉛玉が飛び交う街ってのはイヤだねえ。