マンション

シティ・オブ・ゴッドのマンションのレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.8
現実にあったファベーラを舞台に繰り広げられるマフィア一代記で、話はくそ重い。なのに圧倒的に面白い。
言うなればスラムのガキ版ゴッドファーザーpart2をグッドフェローズ風味で、といった感じ。

もう、脚本と編集のキレがもの凄い。

映像をコラージュのように細かくぶつ切りにして、時に時系列飛ばしたりしながらツギハギしてみせる編集。
現実の抗えない無秩序が、圧倒的な熱量を纏って画面に迫ってくる感覚が味わえる。
特に衝撃受けたのが、リトルダイスが神の街に舞い戻る時の演出。
ヤクの元締めである同級生の部屋で突然時間が止まり、唐突に始まる経緯経過説明。
神の街で起こったこと、リトルダイスの身に起こったこと、
そして第一幕のモーテルでのサスペンスも明らかになってから、
時間がまた動き出しての、リトルゼのこの凶悪な面構えよ!
このシーンには痺れた。

また凄いのが、それぞれの登場人物一人ひとりに課された因果の法則を複雑に絡み合わせる緻密な脚本。
ようこんだけのエピソードをつなげて二時間で描ききれたもん。
特に二枚目マネに降りかかる悲劇が物語を大きく推進させることになる第二幕の終盤の緊張感は圧巻。

こんな各個人の運命が濃密に絡み合う世界で、軸として描かれるブスカペの物語。
なんといっても本作のキモはここかな。
カメラに対する憧れが彼の道徳を守り、最後にはカメラを武器に己の生きる道を切り拓いてく姿に、
ラストめちゃめちゃ感動した。

折を見て何度も観返したい一本。