安堵霊タラコフスキー

髪を短くした男の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

髪を短くした男(1966年製作の映画)
4.2
前から気になっていたアンドレ・デルヴォー作品だけど、少なくともこの作品に関して言えば、勅使河原宏とかチェコヌーヴェルヴァーグみたいな雰囲気が実に不可思議で好み。

というかこの作品は髪の切った教授が巻き込まれる少し奇怪な出来事を淡々と描いているのだけど、色々淡々とし過ぎていてカフカや安部公房みたいな世界観になっていて、その雰囲気だけでも面白いものがあった。

主人公の男の走り方や時折チラチラ見えるハゲた頭頂部が間抜けに思える点も独特で、こういう細かいところで堅苦しさを程良く抜いているのも良い。

それでいてクライマックスシーン等で主人公の顔がベルイマン並みに強調される場面が目立ち、前述の間抜けな点との対比もあってより印象的になる効果が生まれていて面白かった。

しかしこのアンドレ・デルヴォーという監督、後にいくつかカンヌに作品を出品したりする監督だから他にも見たいのだけど、中々マニアックな経歴のせいで見る機会が限られてるのが残念。