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パディントン 2のYUKiのレビュー・感想・評価

パディントン 2(2017年製作の映画)
4.5
もともと、ロングセラー絵本の映画化とか
そういうジャンル映画にほぼ食指が動かないのですが
とりあえずこの公開前に1を観たら、
「なんって良くできた映画なんだ」と
感涙するほど大好きになってしまった。

今回もロンドンの街並みを堪能しつつの
さらにハートウォーミングな仕上がりで
素直に笑って泣いてドキドキさせられて、
と忙しかったです。

オープニングでは、1のあと
パディントンが築いてきたものが
ブラウン家だけでなく
ロンドンの街に散りばめられていて、
しょっぱなから頰が緩みっぱなし。

パディントンは、
姿かたちはキャラクター化されすぎていない
クマそのものでありながら、言動はいたって紳士的。
でも凄まじいトラブルメーカーでもあり、
野生の心を忘れていない側面を
サラリと小出しにしたりしちゃう。

キャラクター設定がほんとしっかりしているなあと。
信念とかは頑固すぎるほどブレがなく融通効かないしね。

かわいいだけのお子様向けキャラじゃないところに
ついついハマってしまう。

赤いハットに青いダフルコートがほんとよくお似合いで。
でもキャラクターにぶりっこさせないんですよね。
ベン・ウィショーの声も可愛らしさを意識していない。たぶん。
好きだなあ‥こういう作り込み。

ビジュアルも、今回はさらにウェス・アンダーソン的要素が
取り込まれていたり、誤解から窮地に陥ってしまった
パディントンを助けるための、ブラウン一家の
チームワークはパーフェクト。
ラストでは、丁寧に描かれたその深い絆に
泣かずにはいられなかった。

放り込まれた刑務所ですら彼は人々に好い影響を与え、
結果、屈強な野郎たちとも“仲間”になってしまう。
‥と好きな要素だらけで書ききれないくらいです。

そんななかでも、わたしがいっちばん好きな部分は
あちこちの伏線を結果みごとに“HAPPY”として
回収してしまうところ。

ハッピーへの伏線だらけで、しかも
悪人でさえも悪で制裁しない、それでいて
あざとくないし、ファンタジーに寄りすぎてもいない。

こんな作品ってほかにあるでしょうか。
と、2ではさらに、そういった描写の巧妙さにも
感心せずにいられなかった。

実は背景にはシビアな移民問題からの
EU離脱とかがフォーマットになっているんですが
そういう基軸がしっかりしていたり
脚本がうまい、とかそんなレベルじゃないんだよなあ。

世知辛いことも多々付随する世の中だからこそ
パディントンのように、ハットを脱いで
道ゆく人に挨拶したり、困っている人や動物を
ほっとけなかったり、そんな感性が必要なんでしょうね。

人を幸せにしたい、なんて言ったら大げさですが
すべてはそこから始まるのかも
というようなことを、パディントンは無意識に
わたしたちに学ばせてくれてもいるんじゃないかな。
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