はなゲ

笛を吹く男のはなゲのレビュー・感想・評価

笛を吹く男(2015年製作の映画)
4.0
こわい。何気なく観たら大当たりだった良作ホラー。ハーメルンの笛吹きをベースに、戦争、情報捜査、差別などの絡め方が絶妙。




ハーメルンの笛吹き男について調べてみた。この童話はドイツで実際に起きた事件がモデルになっているといわれていて、グリム兄弟はドイツの伝承や民話を集め編纂して童話を製作しており、「ハーメルンの笛吹き男」は特に信憑性があるらしい。

1284年、ハーメルンの町で大量発生したネズミに、住民たちは困り果てていた。ある日、色とりどりの衣装で着飾った男が現れ「町を荒らしているネズミを退治をするので褒美をくれ」と申し出たので、人々は報酬を払う約束を交わした。男が笛を吹くと、町中のネズミが集まってきた。男が歩きだすと、ネズミもその後ろをついていった。男はそのまま川へ入り、ネズミを溺死させた。だが、人々は約束を守らず、報酬を払わなかった。男は1度町を離れたものの、6月26日に再びハーメルンに現れた。笛を吹きながら町を歩く男の後に、家から次々と出て来た子供達はついて行ってしまった。いなくなった子ども130人は二度とハーメルンの町に戻らなかった。

この出来事はハーメルンのマルクト教会にある1300年にはすでに作られていたステンドグラスに描かれてあり、1660年に1度壊されてしまったものの、残っていた文献にもとづいて復元された。説明文には、「事件が起きた日付け」「色とりどりの衣装で着飾った笛吹き男の存在」「130人のハーメルン生まれの子供たちが、コッペン丘近くの処刑場でいなくなった」と記されており、当時の悲惨な事件を忘れないために作られたものとされている。事件の詳細は未だに解明されていないが、マルクト教会のステンドグラスをはじめ町全体が物語をイメージできる観光名所となっている。旧市街には笛吹き男が立ち寄ったといわれる建物も存在し、130人の子どもたちが通ったとされる道は「舞楽禁制通り」と名付けられ、音を立てずに静かに通るよう義務付けられている。
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