持て余す

ヒットマンズ・ボディガードの持て余すのレビュー・感想・評価

3.8
最強のボディガードと、
最凶のヒットマン。

物語で盾と矛が出てくると大抵は敵として対峙するのだけど、この映画では手を組んで行動を共にする。とは言っても、このふたり全然性質が違っていて、仲が悪くて、因縁があって、とても楽しい。

話自体は取り立てるようなところもなく、コメディ寄りのよくできたアクション映画ではあるものの、特別な捻りもない。有能なボディガードが有能なヒットマンの身を守り、目的地へ向かう──それだけだ。

ただ、ライアン・レイノルズとサミュエル・L・ジャクソンのコンビがとてもとてもいい。これも神経質な人間と豪快な人間のステレオタイプな組み合わせで、安心して見られる。なにしろ、サミュエル・L・ジャクソンが(いつもそうなのだけど)素晴らしい。

この手の規格外の豪快な人間もフィクションの中にはたくさんいるし、ある種のパターンではあるけれど、こんなに地に足のついた感じになるのはすごい。なにしろあの魅力の溢れかえった笑顔や笑い声がいい。窮地に陥ったときに笑い飛ばすのが特にいい。

ところどころ疑問に感じる展開もあるし、終盤の車とバイクとボートのチェイスシーンは全体のバランスを考えると少しばかり長過ぎるようにも感じるし、主演のふたりに比べて追っ手側の魅力が薄い(ゲイリー・オールドマンが敵方の陣頭指揮を採れれば良かったのだけど)という弱点もある。

それでも、全体に爽快感があるし、とても楽しい。頑なだったボディガードが次第に心を開いていく感じも定番だけど、気持ちがいい。

こんなに安心して誰でも見られるタイプ(暴力表現云々は別として)の映画がNetflixの配信のみで、日本版はDVDやBlu-rayすら販売されてないみたいなのは勿体ないと思う。

それにしても、冒頭のクロサワという日本人の警護対象者。日本人でありながら武器商人というのが謎なうえに、お付きの人たちのアジアではあるものの感がすごかった。
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