回想シーンでご飯3杯いける

ジョン・ウィック:チャプター2の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

3.9
シリーズ2作目となる本作も、やはりキアヌ・リーブスの台詞が少ない。前作のレビューで書いた通り、彼の台詞は棒読みだし、監督は「マトリックス」のスタントマンだったチャド・スタエルスキという事で、基本的にこのシリーズは台詞や物語性で魅せる作品ではない事を再確認した。

しかし、今作ではそれを補う進歩がいくつかあって、まずは脇役の充実。「マトリックス」にも重要人物で出演していたローレンス・フィッシュバーンの起用が特に良いアクセントになっている。彼を中心にしたニューヨークの地下人脈が本作のキモと言って良い。コンチネンタル・ホテルのウィンストンとシャロンも、前作以上に出番が多く、キアヌ1人ではちょっと厳しかったドラマを上手く盛り上げてくれる。

終盤のとあるシーンは、映画らしい、いや、漫画みたいとも言える、大胆な展開で大満足。「燃えよドラゴン」のオマージュと思われる鏡のシーンも嬉しい。全体的にアクションも勿論進化しているが、それだけでは終わらない。今作のように映画としての深みが加わるパターンって、アクション映画の続編としては珍しいのではないだろうか。

【2023/9/30追記】
キアヌ・リーブスがディスレクシア(読字障害)を持っているという記事を見付けた。恐らく本人はこの点について多くを語らないだろうが、俳優としての台詞量の少なさや、感情表現が薄い台詞回しの原因は、そこにあるのかもしれない。だとすると「ジョン・ウィック」シリーズは、彼が「マトリックス」時代からの仲間であるチャド・スタエルスキ監督と協力し、身体表現を中心にした作風を築きあげた、障害克服の記録としての存在意義を併せ持つ作品群と言えるのかも知れない。