キングジョー

ジョン・ウィック:チャプター2のキングジョーのレビュー・感想・評価

4.0
俯瞰したビルの谷間から姿なく響き渡るF1のような甲高いエキゾーストノートで始まる本作。やはりSUZUKIの、いや日本の誇る4気筒バイク現行型GSX1000Sをレブリミット付近まで廻した高回転サウンドです。
世にアクション映画は多々あれど、このシリーズが他と決定的に違うのは車や銃へのこだわりです。それも生半可なものじゃありません。特に銃器に関して主役のジョン・ウィックが握るカスタムガンの数々は今のパーソナルディフェンス市場を反映する最新トレンドの一級品が奢られています。キンバー1911しかりTTIのグロック34やSAIのベネリM4super90しかりTR1にはtrijiconの1-6×24accupointスコープになんとRMRドットポイントをアングルマウントしてます。私のような一部の銃器マニア以外一般の人からしたら何の事かさっぱりかと思いますが、意味するところは実戦そのものです。
そして驚きは暗殺者であるジョンの武器だけでなく仇のサンティーノの使うグレネードランチャがArwen37であったり、その兵隊達のM4にまでeotechの高級ホロサイトが付いていたりと、ただのアクション映画の領域を超えた兵器のリアリティ追求の偏執ぶりです。
しかし、よく考えれば当たり前の事で、その世界で生きる人間にとって銃器は自分の命を託す最も大切な道具です。相手より少しでも優位に立つため拳銃ならばリボルバーよりオートマティック、ライフルもただのアイアンサイトより高精度なドットサイトと細かなこだわりが生死を分ける境目になるのは想像に難くありません。出てきた瞬間に殺されるエキストラとて例外ではないでしょう。今までの映画の描写がおざなりであっただけなのです。この映画がアクション映画の在りかたを変えたといっても過言ではありません。