まぁびっくり

彷徨える河のまぁびっくりのネタバレレビュー・内容・結末

彷徨える河(2015年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

 前日に見に行ったときはかなり寝てしまい、断片的にしか内容がわからず悔しかったので、気合を入れて二回目を見たらとてもおもしろかった。コンディションが悪いとパフォーマンスが下がるので、質のいい睡眠は大切だと改めて自分への戒めにしたい。

 テオドールが先住民の長からコンパスを返してもらおうと必死になるシーンでは、コンパスのような文明の利器が先住民の文化を破壊するというテオドールの理屈はすごくわかるが、一方でカラマカテの語るように先住民たちの好奇心を否定するような白人の有り様は傲慢でもあるなと思い、複雑な気持ちになった。コンパスは磁力を持った石を水に浮かべたら作れるような気もするし、原理だけ教えてその地で得られる材料だけでコンパスを作ればそこまでその地の文化を破壊することにはならないのでは、と思ってしまったけれどそういう問題じゃあないんだろうし……。

 また植民地におけるゴムのプランテーションというのは世界史の授業で習って文字面としては知っていたが、その地で行われた暴力や文明による自然やその地の営みに対する略奪などについて、具体的には何もわからない自分に気づき、知性とは一体なんなんだろうという気持ちになった。

 「食人から子供たちを守る」ようなことを言って宣教師が子供たちを集めていた教会が、宣教師を失ったあと数十年の時を経てイエスのような風貌をしたメシア(しかも妻がいる)を奉る、キリスト教とカニバリズムが融合したカルトと化していたのを見て、結局自分たちの目的を果たすこともなく、ただ先住民の文化を破壊した白人の横暴さを感じた。

 ヤクルナが迎えた結末や、老いて記憶を失った自分のことをチュジャチャキだというカラマカテがつらい。

 最後にカラマカテの体内から光があふれ、そこからカラーの映像で宇宙が描かれたのは彼のなかに世界の理があるということなのかな……と思ったけどのよくわからなかった。カラマカテはどこに行ってしまったんだろう。
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