囚人13号

花婿、女優、そしてヒモの囚人13号のレビュー・感想・評価

花婿、女優、そしてヒモ(1968年製作の映画)
4.0
そういやヨーロッパの個性的な監督はみんな車の移動撮影やってんな。『歴史の授業』は運転手の背後から「移動」を撮っているのに対して本作は目的地の不明瞭さというか、脱力感と音楽の荘厳さも相まってビデオアート風に収まってる印象。

お決まりの省略により戯曲は一瞬で片付き、スタジオセットとしか思えない遊戯的な演劇空間からカットで舞台裏へ移動すると急に現実へ引き戻される、ストローブ=ユイレの編集には何か言語化し難い力学が漲っていると確信(厳密なショット台本があるらしい)。
前作のラストカットと全く同じ構図から、木々へズームしていく幕引きは自然を被写体とする後期スタイルの濫觴ではないか。
囚人13号

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