牡蠣工場で働く人たちの日常と生きる姿を映すドキュメンタリー。
状況を説明するナレーションも字幕もありません。最初にそこがどこなのかも紹介されません。
目隠しをさせられ、車に乗せられ連れて来られたところで、目隠しを外した直後のような感覚で始まります。目の前の様子を眺め、いろんなところに焦点を移しながら状況を把握していくしかありません。カメラが、そんな感覚で直線的な意図を持たずに、いろんなものを写していきます。
これが「観察映画」ってヤツね。面白い!
牡蠣工場がある小さな町の人たちがたくさん登場します。クダラナイ冗談を言うおじさん、分かってないくせに同情的なことを言うジイさん、ひとを属性でキッパリ判断するオッサン…。一言で言うと面倒くさい人たちばかり。いちいち関わってきます。
僕は田舎の小さな町の出身なので、こういうのに身に覚えがあるんですよね。すごく嫌でした。
でもね、この映画でそんなのを観ていたら、田舎にいた頃嫌っていたそんな暮らしが何だかとてもとても愛おしく感じてしまい、感極まって泣いてしまいました。
それが僕にとって、この映画のクライマックスでした。
この映画、特にドラマチックなことは起こりません。観る人によって感じるところ、クライマックスが異なるのだと思います。それが、「観察映画」ということなのかもしれません。