Osamuさんの映画レビュー・感想・評価

Osamu

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誰も知らない(2004年製作の映画)

4.2

子どもたちの自然な演技に驚かされる(「子どもたち」にはYOUも含まれる)。

社会から隠れて暮らす者たちは、隠れなくとも社会から見えない存在だった。

賞味期限切れの弁当を与えてくれていた店員がいたと
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歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.2

家族という他人のさみしさが描かれている。そのさみしさは、秘密を持って生きるということなのかもしれない。一方で、他人でありながら相手の何かが自分の中に蓄積される不思議も感じさせる。

物語は語らず断片を
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(2017年製作の映画)

4.3

映画に音声ガイドを付けるという仕事に興味が湧いた。その仕事の奥深さと芸術性に感動する。

映像を言葉に変換するということ。その変換に必要なものは何か。それはこの仕事特有のものではなく普遍的なものなので
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ユキとニナ(2009年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ユキとニナの演技がすばらしい。演技とは思えない自然さ。彼女たちの体から発せられる戸惑い、悲しみ、衝動、などなどを観る映画だと思う。

ただ一箇所、ユキの演技が崩壊するところがある。母親が激情する横で笑
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二重のまち/交代地のうたを編む(2019年製作の映画)

4.2

4人の旅人が東日本大震災の被災地で聞いた話を語る。

民話が生成されるプロセスを擬似的に進行させる実験的側面がおもしろい。

受け取ったものを誰かに伝えたいという衝動と、正しく伝えなければならないとい
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2/デュオ(1997年製作の映画)

4.2

演じることを意識させる作品。

ドラマにドキュメンタリーがぶち込まれているという作りがおもしろい。ドラマ部分の2人の会話は演技っぽく、ドキュメンタリー部分のそれぞれの告白はリアルな感触がした。

関係
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空に聞く(2018年製作の映画)

4.2

キャストとスタッフのクレジットの背景に映されたカット、厨房とその勝手口から見える風景がとても美しいと感じた。

監督の小森さんは震災直後に陸前高田市に移り住んだ時、自分の知性と感性で撮ることに躊躇いを
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風の電話(2020年製作の映画)

4.2

偶然すれ違っただけの人たちの優しさが描かれている。冒頭の玄関シーンから泣いた。

間をたっぷりととった演出がいい。役者は力量を相当問われたと想像するが、西島秀俊の演技が良く泣かされる。

三浦友和のパ
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冬時間のパリ(2018年製作の映画)

4.0

現実(リアル)とは異なる「もう一つの世界」を誰もが持っているのかもしれない。そこは自己愛を動力源として回る、都合の良い世界。

この映画の登場人物は、「もう一つの世界」を簡単に捨てているように見える。
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.0

金をつかむためには手段を選ばない物質主義の世界が、飽きさせないストーリー展開で描かれている。

「ニオイ」を使って差別意識を表現したり、坂と雨水の流れを使って経済的格差の傾斜を表現しているところはこの
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リチャード・ジュエル(2019年製作の映画)

4.2

捜査当局とマスメディア、それぞれの仕事の根底にあった差別意識や偏見の恐ろしさが描かれている。だだし、それら二者を完全なる悪者としては描いていないのは、特別な悪意が無くともこのような恐怖は起こり得ること>>続きを読む

さよならテレビ(2019年製作の映画)

3.0

テレビ業界の闇をテレビ局自身が暴く、という内容を期待させられたが、それを満たされることはなかった。

撮ってみたら闇が見つからなかったのかもしれないが、それならば中途半端なものを公開しないでほしい。あ
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ダゲール街の人々(1976年製作の映画)

4.2

店主たちのちょっとした自己紹介や接客の様子を編集しただけなのにおもしろい。

客の表情や買い求める内容に物語の存在を感じる。店主たちが語る断片的な自己紹介からも物語の存在を感じる。ただ、存在が感じられ
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家族を想うとき(2019年製作の映画)

4.0

自己責任という「自由」が自分の首を絞め、気付かぬうちに支配者に尊厳を奪われていく。進化したテクノロジーは支配者の監視道具として最も効果を発揮している。

恐るべきディストピアが描かれているが、空想世界
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マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.0

結婚生活の終盤を映し、結婚の幸福と不幸を想像させる。離婚に向かう法的手続きが衝突を生むのを見せられ、夫婦が法的に裁定される恐ろしさと関係の危うさを感じさせられる。

結婚と離婚の話として物語は進むが、
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馬ありて(2019年製作の映画)

4.0

人の営みに関わる馬が記録されている。

極寒の空気の中に馬たちから吐き出される白い息が美しく、感動する。モノクロームの映像が輝いている。

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.0

逃げて、逃げて、隠れて、生きる。

いくつかの善意によって生をつなぎとめたピアニストの奇跡。ドイツ軍人たちの悪意によって当然のように殺されていくユダヤ人たちの日常。善意と悪意、奇跡と日常が隣り合わせに
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読まれなかった小説(2018年製作の映画)

4.0

人間の分かりにくい部分を肯定しているように感じる。それは若者には嫌悪されるもののようだが、若者にも分かる瞬間がいつか来たり来なかったりするのだと思う。

そういうことが、果てしなく続く会話の連続からに
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i-新聞記者ドキュメント-(2019年製作の映画)

4.0

東京新聞社会部記者の望月衣塑子。菅官房長官の会見で、空気を読んで大人しくしている政治部記者たちの中で一人、問題を追求する質問を投げ続ける。

森達也監督はカメラに写り過ぎだと思うし、最後に言いたいこと
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8月の終わり、9月の初め(1998年製作の映画)

4.0

会話、会話、会話。
女と男、男と男の会話でああなったり、こうなったり。

分かれたカップルがアパートを売る話から始まるが、居場所に関する映画だと感じた。居場所を失い、探し、得る姿が映っていた。我々はそ
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イルマ・ヴェップ(1996年製作の映画)

3.8

映画出演のためにパリにやって来た異国の女優マギーを眺める映画。

劇中の監督がマギーとボンテージの組み合わせに興奮したように、アサイヤスも彼女を撮りたかっただけではないかと疑う。雑然と散らかった真ん中
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(2018年製作の映画)

3.8

おじいちゃんとの思い出を切り取った作品。
主演の古川琴音の表情が魅力的で吸い込まれる。

レイのために(2019年製作の映画)

3.7

作り手の内面世界を映像にしたようだが、僕には難しくて何かを感じることは出来なかった。

主演の役者は雰囲気がある。

おばけ(2019年製作の映画)

3.8

あの世の2人の掛け合いがおもしろく、チープな造形に味がある。この世の映像は美しい構図で描かれている。

そして映画への思いがにじみ出てくる。

次回作もぜひ観てみたい。

福島は語る(2018年製作の映画)

4.2

170分間のほぼ全てがインタビュー映像だが、全く飽きることがなかった。登場する全ての方の話に感じるところがあった。聞き手の聞き方がうまいのだと思う。兎に角おもしろい。

特に3.11の黙祷から逃れる話
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テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

3.5

いろんな人の思惑でストーリー展開やセリフ、出演者、スタッフ、小道具までもが変えられていく人気テレビドラマはエルサレムを象徴しているのか。

部分的にはおもしろいけれど、全体的にはおもしろさが分からない
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グレタ GRETA(2018年製作の映画)

4.0

怖った。冷静にチェックなどできなかったが、恐怖が近くなるほど、友人とのショットが遠くなり、恐怖と相対する映像空間は狭くなっていく仕掛けがされているのではないか。終盤、空間が極めて狭くなってからは、何も>>続きを読む

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

3.8

全体的な雰囲気は好きだし、テーマにも共感するけれど、物語としてもっとおもしろくしてほしいと感じた。

テーマである場所や空間が持つ存在感を意識させる映像表現はこの映画の見どころだと思うけれど、過剰にも
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ラフィキ:ふたりの夢(2018年製作の映画)

4.0

ポップでアフリカンな衣装や音楽がカッコいい。ケニアを体感したような感覚を受ける。作り手のケニアのカルチャーに対する誇りを感じる。

同性愛が法律で禁止されているケニアでは、この映画は異端なのだろう。ケ
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頑固じいさんとしあわせな時間(2018年製作の映画)

4.0

頑固なじいさんと息子と孫娘の話。
話の内容は何度も観たことがあるようなものだったが、映像の雰囲気が良かった。

暗めの画面に広がるフィンランドの田舎町の大地。そこを行き来する小さな赤い車。そこに根をお
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マチネの終わりに(2019年製作の映画)

4.2

美しい物語だった。

同じ過去でも、未来からの見方、とらえ方によって違うものに見える。つまり、未来によって過去は書き換えられる。だから、過去のひとつの出来事はそれ単独で存在し得ない。それに続くものたち
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生理ちゃん(2019年製作の映画)

3.8

生理を擬人化した表現がおもしろいし、キャラクターデザインがイカしている。物語は一見ありきたりなのだが、生理同様、生きる上でやむなく背負っているものとどう向き合うか、という深いテーマを静かに表現している>>続きを読む

明日に向って撃て!(1969年製作の映画)

4.2

終盤の警察の大群に、現代のインターネット越しの大群と同じ怖さを感じた。表情の分からない大群に徹底的に攻撃される恐怖。

社会の中で起きていることは社会が生んでいるはず。それが反社会であっても。

反社
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ディスコ(2019年製作の映画)

3.8

上映後のQAでの監督コメントによると、閉鎖的空間内、閉鎖的組織内における不均衡な人間関係を描いているそうだ。そのつもりで観ないとそういう目で観るのは難しいように感じたが、それを知って振り返るとなかなか>>続きを読む

空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

4.2

蚊に刺されたくるぶしをかきまくる描写など、間接的な心情表現が美しい。中盤、「何も起こらないなあ」と退屈しかけたが、深くしゃがんだ後の跳躍の表現は爽快だった。

この物語のアクセントになっている『ガンダ
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典座 -TENZO-(2019年製作の映画)

3.8

役者が本業でない人びとの演技が気になってしまったが、仏教を軸に置いた、とても奥深いものを感じた。

全体に筋の通ったテーマが無いようにも見えるが、みなまで言わず観る側に考えさせる構造なのではないかと感
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