ShigeakiMiyano

なぜ君は絶望と闘えたのかのShigeakiMiyanoのレビュー・感想・評価

なぜ君は絶望と闘えたのか(2010年製作の映画)
2.5
「光市母子殺害事件」

無辜な母親と幼い娘を己の欲望を満たす
為に殺害すると言う凄惨な事件を起こした
犯人が未成年だった為、長年に渡って
地獄を彷徨うことになった被害者遺族

3時間を超える長尺のドラマの中で
描かれて行く少年法や司法の壁、偏重した報道で世間を煽るメディアの過熱ぶり、
漫然と費やされていく時間の中で悲しみや
怒りに押し潰され苦しむ遺族の姿を
丹念に描写した作品です

被害者遺族を演じた眞島秀和さんの演技
には心が震えてました
事件に向き合う記者役の江口洋介さんも
イイ意味で “ 彼 ” らしい好演を見せて
くれています
(久しぶりにミムラさんの姿を見て安心)

物語は周知の方も多いように
最高裁の差し戻し判決で無期懲役から
死刑へと覆った事で幕を閉じますが…
町田さん(劇中仮名)の心境やその後の
彼の人生を想うと手放しで「良かった」
とは言えないのです

長期化する裁判や少年法や死刑の是非など法律の厚い壁に苦しめられる遺族
当時はプライバシーへの配慮も薄く
センセーショナルに成り行きを報じる
マスコミの醜悪な姿に憤りを感じつつ
淡々と進むストーリーの中で独りで怒りや
悲しみや自責の念と闘って行く町田さんの
姿に心打たれます

実際、この事件や裁判を通して遺族の
本村さんらの活動が実り遺族法案が可決
され後の “ 少年法改定 ” への大きな
流れを作って行った事は周知の通りです
ShigeakiMiyano

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