はるか

なぜ君は絶望と闘えたのかのはるかのレビュー・感想・評価

なぜ君は絶望と闘えたのか(2010年製作の映画)
4.5
📀クライム・サスペンス・ドラマ
監督:石橋冠

1999年4月14日に実際に起こった「光市母子殺害事件」を追ったジャーナリストの著書を基に綴られた実録犯罪を描いた人間ドラマ。

ある夏の日、週刊誌記者の北川は、妻と幼子を殺された23歳の夫・町田から話を聞いていた。「僕が…僕が、この手で彼を殺します」と言い放った町田に戸惑う北川(江口洋介)。18歳の少年の犯行が司法の壁に幾度となく跳ね返される中、北川も町田の大きな力になっていく。

社会に大きな衝撃と影響を与えた痛ましい事件。
1999年4月14日に山口県光市で起きた。犯人は未成年。
罪もない本村洋さんの23歳の妻の弥生さんと11ヶ月の娘の夕夏ちゃんが殺されてしまい、家族の幸せが奪われてしまった。
被害者家族である、本村洋さんの3300日に及ぶ闘いを描く。

本当に衝撃的で、今でも忘れられない事件だった。
少年法に逃げ込もうとする加害者の元少年だけじゃなく、司法との闘いのように思えた。本村さんの家族は元少年と、心ない司法によって、何度も何度も殺されたようにも見える。
この国の法律は本当にいろいろとおかしい。
本村さんは裁判所に家族の遺影すら持ち込めなかった。
どうして加害者側だけの心情を尊重するのか?
少年というだけで、加害者少年を守ろうとする巨大弁護団には本当にはらわたが煮え繰り返るほどの怒りでいっぱいだった。
少年の生い立ちを理由にして、正当化しようとする。
おまけに、嘘をつかせてまで少年を守ろうとする弁護団。
「ドラえもんがなんとかしてくれると思ったから」と少年に嘘までつかせてまで死刑回避を勝ち取りたいのかと、呆れた。
何度も死刑の求刑を回避されてきた元・少年。
本村さんは、どんなに空しくつらい気持ちだったろう。
本を軽く読んだけど、死刑を求刑しなかった裁判長。本村さんに深く一礼した裁判長もいた。わかっているのだろう。
本当は「死刑」が相当であるということを。
あたしは、当時のニュース報道を見て何度も泣いてしまった。
一度は自殺も考えた本村洋さんの心情が伝わってくる。
敵は加害者だけじゃなかった。司法も敵だった。
それでも、本村さんは絶対に諦めずに何度も何度も闘った。
犯人は反省などしていなかった。少年法なんかいらない。
「人を殺せば、自分も殺される」べきだと心の底から思う。

この事件の影響で、当時の総理であった小泉純一郎氏が、「犯罪被害者基本法」を作って下さったのは凄い功績だと思う。
“この事件”が起こらなければ、この法律は作られなかった。

最高裁で「死刑判決」が出たニュースを見て大泣きした💧
どんな思いでここまできたのだろうと思ったら・・・。
10年以上も渡る裁判を闘った本村さん、よく頑張ったと思う。
はるか

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