このレビューはネタバレを含みます
No.3702
日本映画専門チャンネルで放送された
『リップヴァンウィンクルの花嫁 complete edition 』を視聴。映画版とキャストは同じで260分の完全版。
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七海(黒木華)と真白(Cocco)が出会った日、2人がカラオケで歌っていたのが
「ぼくたちの失敗」(森田童子)
「何もなかったように」(荒井由実)
と、この映画の内容そのままのような、非常に皮肉のきいたタイトル2曲で、こりゃ一本取られた!! って感じで、鳥肌が止まらんかった。
特に、真白が歌ったユーミンの曲のほうは「長年飼ってた愛犬が亡くなった。愛犬を失ったことはとても悲しいけど、失ったからこそ気づく、愛犬と過ごした日々の幸せを胸に刻めるから、人は何もなかったように明日を生きていけるんだ」
というめちゃめちゃ切ない歌詞(泣)。
愛犬の死と、その死を乗り越えていく儚くも力強い歌なので、すでに真白のその後を暗示してるんよね・・・。
荒井由実の名曲を野田洋次郎の伴奏でCoccoが歌うという、なんとも豪華共演で、
「あぁ凄い、これが岩井俊二の映画だ・・・」と、うっとりしてしまった。
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久々にガッツリ岩井映画を見た感じ。
岩井俊二にハマっていた20代のあの熱かった頃に、一瞬で戻れて感慨深かった・・・。
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ただ、引っかかる点がある。
安室(綾野剛)なんだけど、七海のためにいろいろ尽くしてくれて、なんだか善人のように描かれてるように見えるけど、
ランバラルは安室本人で、しかも「別れさせ屋」って、結局彼だったわけだよね??
それが彼の仕事だったとはいえ、めちゃめちゃひどいことしてるよね??
さらにややこしいことに、七海が結婚式の親族出席代行を頼んだ人と、
鶴岡と鶴岡の母が別れさせ屋として頼んだ人が、たまたま同じ安室だったってこと?? こんな不運ってあるの?
そこが最後まで引っかかって、七海が離婚してから過酷な目に遭い続けるのも、安室が盗撮までして別れさせ屋をやったからなのに、
その安室が何も報いを受けてないの、ズルいと思った。
マジで綾野剛、嫌いになりそうになったww
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でも、その違和感を乗り越えられれば、あとは岩井ワールド炸裂で、260分なんかあっという間だった。
七海が鶴岡と出会って離婚するまででもかなり濃い話なのに、
中盤からさらに濃いCoccoが出てきて、もはやカオスにカオスを重ねたミルフィーユ状態w
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先に塚本晋也の『KOTOKO』を見ていると、同じ世界線から出てきたんじゃないかとすら思わせるほど怖くて美しいCocco。
彼女の「怪演」と、黒木華の抑えた演技が相乗効果になってハイパーインフレ状態。
Coccoは2022年に、「ライブ以外のメディアには顔を出して歌わない」宣言を出したため、
映画出演も本作が今のところ最後となっているのがとても残念で寂しい。
いつか、チョイ役でもいいから、戻ってきてほしい・・・。
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