たおぱお

リップヴァンウィンクルの花嫁のたおぱおのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

意地悪く表現すると、自分の問題に自分で正面から向き合うことをせず、他人に解決してもらおうとする受け身系他力本願女子が、自分で埋めた地雷を踏んでみたり、サイコパスの何でも屋に翻弄されたおかげで、心を揺さぶられる出会いと別れを経験し、少しだけ強く成長するおはなし。という感じでしょうか。

見終わった後に戸惑いを残すというか、なんとも言えない後味の悪さを感じ、その一つ一つを何でだろう?と考え巡らすのが楽しい作品でした。

作品からはあまり『こう解釈するように』みたいな誘導がないんですよね。
だからこそ、観る人が自由に解釈して、そこから自分の価値観を広げていける、そんな作品。

便利屋の安室ははたして悪人なのか、善人なのか?
だけでも延々数時間は考えていられます。
結果、自分の利益のためにはどっちにもなれるサイコパスなんだろうなと勝手に結論付けましたけどw
真白母のテンションに合わせて泣きながら脱げるって、相手の懐に飛び込める&空気読む才能がサイコパス級じゃね?と。

若い頃だったらもっと七海に感情移入して、すごくヒステリックに『こんな仕打ち許せない!安室ムカつく!』なんて思いながらこの作品を鑑賞したんだろうなぁ。

でも安室のおかげで結果的に窮屈な結婚生活に終止符を打てたし、自分の全てを捧げても良いと心から思える存在にも出会えて、マイクを使わなきゃ授業できないくらいおどおどしていた子が、笑顔で大声でありがとうって言えるくらい成長できたわけで。
冒頭の手の振り方とラストの手の振り方、表情、見比べたら明らかに幸せそうな七海がいる。
それだけでも、結果オーライって思った方が良いよね?となったりして…。

真白が最終的には一人で逝くことを選んだのも、七海に出会って心が満たされたからなんだろうなと思えたのも良かった。

人間万事塞翁が馬、なんていうとキレイにまとめすぎかしら。

ただ、なんだかんだ言って今後も安室は七海を使いたくなったら連絡するんだろうな、とか。
安室のキャストとして参加して、安室と繋がってる人みんながその場その場で安室に利用されてるのかなぁ?とか考えたら、たとえWin-Winな提案であったとしてもちょっとゾッとしたりもして。
そんな妄想で後味が悪くなる作品でもありました。

不気味なのに、中毒性がある作品で、考えながら何度も気になるシーンを見返してしまいましたよ。
最初は3.2 くらいかな?と思ってたけど、考えるうちに3.9をつけたいくらい作品を反芻してる自分がいました。

配役、サイコーでした。
黒木華も綾野剛もCoccoもこの役はこの人にしか出来ない!って思えるくらいハマってました。
2016年の段階で観ていたら綾野剛にこんな役させないで!と思っていたかもしれないけどw
某シーの暴露のおかげで違和感なく観れたのかもしれない…。

不満だったのは、RADWIMPSの野田洋次郎さんの使い方…。
カメオってそういうものなのかも知れないけど、もう少し見ていたかったよーーー!
たおぱお

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