じゅうろく

リップヴァンウィンクルの花嫁のじゅうろくのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

ここ最近で一番有意義な3時間。

劇場版 リップヴァンウィンクルの花嫁を鑑賞。
いつかは終わる愛の話だった。
誰かに愛されたくて、一緒にいて欲しくて、抱きしめられながら寝そべっていたいだけなのに、そうやって必死になっても、同じ愛の形・同じ重さの愛の人間はそうそういない。
ネットで物を買うみたいに簡単に愛が買えて、虚しくなって、終わって。悲しいのは相手がいなくなったことじゃなくて、自分が一人になったこと。

そんな七海が、わけも分からず働いて、ただ日々を過ごしていく中で、普通では無いアルバイト先で出会う真白。

楽しくて、楽しくて、ずっと微睡みの中みたいな日々。
眠くて、起こされても目を開けられないぐらい眠くて、それでも抱きしめてくれて、眠っている間、心臓の音を聞いてくれる人。

同じ愛の形、同じ愛の重さ、やっと出逢えた。今までバカにされた過去も、適当に扱われた過去も、全て水の中に沈んで行って、愛されているという事実だけが残る。

美しいウエディングドレスを着て、見えない指輪をはめる2人。
見えないそれは、2人の間には確かに存在していて、2人以外に見える必要は無いもの。

あの夜は、2人だけのもの。

「わたしと一緒に死んでくれるか」
頷いたのに。七海と真白は同じ重さの愛であったかもしれないが、同じ形では無かった。
真白は最高に幸せな感情のままで死んだのか。羨ましい。

見えない指輪はずっと存在していて、それが記憶として存在する限り、七海は何にも屈さないのだろう。
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